デグーの鳴き声の意味:ピーピー・クルクル・チチチなど鳴き声の意味と状況別の対応
小動物 ・ 公開: 2026/8/20 ・ 約10分で読めます
デグーを飼い始めて「よく鳴いているけど、何を言いたいのかわからない」と感じたことはありませんか?
結論からお伝えすると、デグーの鳴き声は種類と状況を組み合わせることで、感情や要求を読み取ることができます。飼育下のデグーを3535音にわたって分析した研究(Long 2007)では、鳴き声は15種類に分類されています。この記事では、その研究で確認された声の意味を軸に、一覧表、挨拶・警戒・威嚇の見分け方、デグーが鳴き返す理由、鳴き方が急に変わったときの注意点まで解説します。
デグーが鳴き声でコミュニケーションする理由
デグーは中部チリの半乾燥低木地帯が原産の齧歯類の動物で、野生下では2〜10頭(平均約3頭)の群れで暮らします。研究では雄1〜2頭と雌2〜5頭で構成される社会群が報告されており、仲間と声でやり取りする社会的な動物として扱われています。
声の高さ・長さ・出る場面によって、伝える内容が変わります。鳴き声を覚えておくと、デグーの様子が読み取りやすくなります。
鳴き声の種類と意味の一覧表
まずは代表的な声をまとめて確認しましょう。
| 鳴き声(論文の呼称) | 感情・状況 | よく出る場面 |
|---|---|---|
| whistle(ピーピー系) | 仔の声。遊び中や巣から離れて孤立したときに出す | 仔デグーが遊んでいるとき・孤立したとき |
| trill(クルクル系) | 授乳・育児中の雌が出す声 | 育児中の雌 |
| chitter(チチチ系) | 挨拶・社会的な絆を促す柔らかい高音 | 顔なじみとの出会い・離れたとき |
| wheep | 警戒声。短く大きく、周囲の個体が逃げる・隠れる・固まる | 環境上の懸念や危険を感じたとき |
| bark | 縄張りの警告(雄が多い) | 雄同士の場面・交尾後 |
| grunt | 強い威嚇・差し迫った攻撃の警告(雄のみ記録・最も稀) | 顔なじみとの争い |
| squeal | 痛みによる不随意の声の可能性 | 咬まれるなど強い接触を受けたとき |
論文の呼称は Long (2007) の分類です。ピーピー・クルクル・チチチといった日本語の擬音と論文の呼称の対応は一次情報になく、編集部の整理です。個体差や文脈によって意味が変わることがあるため、「声の種類」と「そのときの状況・体の様子」を合わせて判断してください。
ピーピー・クルクル(論文では仔と育児中の雌の声)の詳細
ピーピー・ピューピュー(論文の whistle は仔の声)
飼い主の間では「ピーピー」「ピューピュー」と表される高い声があります。論文で whistle と呼ばれる声は仔だけが出す声で、遊んでいるとき(約6割)と、巣から離れて孤立したとき(約3割)に記録されています。
成体の「ピーピー=呼びかけ・甘え」を直接裏づけた研究は確認できていません。飼い主を見つけたときなどに鳴く場合は、状況から「こちらに注意を向けている」と受け取る程度にとどめ、思い込みで決めつけないでください。
クルクル・クックック(論文の trill は育児中の雌の声)
「クルクル」に近い声として、論文では trill が報告されています。これは授乳中・非授乳の成体の雌だけが出す声で、記録は育児の場面に集中していました。
撫でられてくつろいでいるときの声と断定できる根拠はありません。声だけで判断せず、体の力み方や食欲などの様子を合わせて見るのが安全です。
「不満・警戒」を表す鳴き声とその対処法
短く大きい警戒声(wheep)
論文で警戒声とされているのは wheep で、短く大きい音(平均約0.1秒)です。口を開け耳を後ろに倒して発し、聞いた周囲の個体はただちに逃げる・隠れる・固まるといった反応をします。近隣の仲間に危険を知らせる役割とされています。成体の警戒声には周波数変調の音節が含まれ、聞いた個体の警戒度が高くなることも報告されています。一方、「チチチ」に近い chitter は警戒声ではなく、顔なじみとの挨拶の声です。擬音との対応は編集部の整理で、短く鋭い声が聞こえたら警戒の可能性を考えてください。
この声が聞こえたら、まず周囲を確認してください。環境上の懸念や危険を感じた場面で出る声です。複数飼育している場合は、1匹が警戒声を出すと他の個体も一斉に逃げる・固まるといった反応をすることがあります。
キーキー・ギーギー(論文との対応が不明な声)
「キーキー」「ギーギー」と表される声と Long (2007) の15種類との対応は、一次情報では確認できず、編集部では特定できません。意味を一次情報から断定できないため、聞こえたときは声だけで決めず、そのときの状況と体の様子を合わせて見てください。
嫌がっているように見えるときは、一度手を止めて距離を置くのが無難です(編集部の目安)。デグーが落ち着くまで少し待ってから、改めてアプローチしてください。
強い威嚇の声(grunt)
論文で grunt は「強い威嚇、差し迫った攻撃行動の警告」とされています。出現は pip と並んで最も稀(0.2%)で、記録は雄のみ、顔なじみとの争いの場面が中心でした。飼い主への反応は確認できていません。この声が聞こえたら、手を出さず距離を置き、環境を整えてから様子を見てください。
デグーが鳴き返すのはなぜ?
デグーの特徴的な行動の一つに、「話しかけると鳴き返す」ように見える場面があります。
鳴き返しの理由を直接調べた研究は確認できていませんが、デグーが声のやり取りを社会生活の中心に使っていることは論文から分かります。警戒声には周囲が即座に反応し、chitter は顔なじみとの挨拶として社会的な絆を促すとされています。こうした群れの習性が、飼い主の声かけへの反応にも表れている可能性があります。
鳴き返しの多さが信頼関係の指標になるという根拠はありません。反応には個体差があるため、デグーの様子を見ながら話しかけてみてください。
鳴き方が急に変わったときの注意点
急に声が大きくなった・よく鳴くようになった
普段は穏やかに鳴いているデグーが急に声が大きくなったり、鳴く頻度が増えたりした場合は、環境の変化などが起きている可能性があります(編集部の見方で、原因を特定した研究は確認できていません)。
- ケージの置き場所・温度・光の条件が変わっていないか
- 他のペットや来客など新しい刺激が増えていないか
- 食欲・水分摂取・糞の状態に変化がないか
環境に心当たりがなく、体調不良の兆候(ぐったりしている・食欲低下・糞の異常)が重なる場合は動物病院への相談を検討してください。
受診を考えるポイント
以下は編集部の目安です。当てはまる場合は、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
- 鳴き声の変化に食欲の低下が重なる(継続する場合は早めに。何日で受診という公的な基準はありません)
- 触られたときだけ激しく鳴く
- 痛みによる声の可能性がある squeal(論文の呼称。咬まれるなど強い接触を受けたときに出る声)を繰り返す
デグーの鳴き声に関するよくある質問(FAQ)
Q1. デグーが全く鳴かないのですが、大丈夫ですか?
個体によって声の出し方には差があります。お迎え直後は環境に慣れず鳴かないこともあります。食欲や動き方に変化がないかを合わせて確認し、気になる場合は動物病院に相談してください。以前より鳴かなくなり食欲低下も重なるときは、前述の受診の目安を参照してください。
Q2. 夜中によく鳴くのですが、対策はありますか?
デグーは野生下では主に昼行性(日中に活動する)で、夜は巣穴で過ごすとされています。夜中によく鳴く場合は、空腹・水切れ・ケージの汚れ・室温の変化など不快要因がないかまず確認してください。環境を整えても続く場合は、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。夜鳴きの原因を緊急度別に詳しく知りたい方はデグーが夜中に鳴く理由で原因と判断表を解説しています。
Q3. 複数飼育すると鳴き声は変わりますか?
複数飼育では、仲間同士の声のやり取りや、争いの場面での威嚇の声が聞こえることがあります。鳴き声の内容に注意しながら様子を観察してください。
Q4. 鳴き返しをしない個体は懐いていないのですか?
鳴き返しの頻度には個体差があります。鳴き返さないからといって懐いていないわけではありません。デグーによっては声ではなく、近づいてくる・手に乗るといった行動でコミュニケーションを取る子もいます。
Q5. 「デグー 歯ぎしり」が気になるのですが、すぐ受診が必要ですか?
歯ぎしりは論文の15種類の鳴き声には含まれず、意味を鳴き声の研究から断定できません。意味の見分け方はデグーの歯ぎしりで解説しています。デグーの歯科疾患では臼歯の不正咬合が最多(137症例中42.3%)ですが、歯ぎしりとの関連は抄録では言及がありません。食欲が落ちているなど気になる様子があるときは、動物病院で確認してもらうと安心です。
まとめ
Long (2007) の研究ではデグーの鳴き声は15種類に分類され、警戒声(wheep)は周囲に危険を知らせ、chitter は挨拶、grunt は強い威嚇、squeal は痛みによる声の可能性があるとされています。論文の whistle は仔の声、trill は育児中の雌の声です。成体のピーピー・クルクルの意味を確かめた研究は確認できていないため、状況と体の様子で判断してください。
社会性が高く鳴き声の種類が多いデグーは、声に加えて「耳の向き」「口の開き」「鳴いたときの状況」をセットで観察することで、より正確に気持ちを読み取ることができます。鳴き方や頻度が急に変わったときは環境か体調のサインである可能性があるため、食欲・糞・動き方を合わせて確認してください。
デグーの飼育環境について詳しく知りたい方は、デグーを一人暮らしで飼う方法も参考にしてください。また、他の小動物の声が気になる方はチンチラの鳴き声の意味やモルモットの鳴き声の意味もあわせてご覧いただけます。
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出典
- Long, C.V. (2007)「Vocalisations of the degu Octodon degus, a social caviomorph rodent」Bioacoustics 16:223-244(査読論文) (取得日: 2026-10-08)
- Frontiers in Aging Neuroscience (2024)「Octodon degus laboratory colony management principles and methods for behavioral analysis for Alzheimer’s disease neuroscience research」(Original Research, DOI 10.3389/fnagi.2024.1517416) (取得日: 2026-10-08)
- Springer J Ethol (2012)「Alarm call discrimination in a social rodent: adult but not juvenile degu calls induce high vigilance」(査読論文) (取得日: 2026-10-08)
- Journal of Veterinary Dentistry 29(3) 2012「Common dental disorders of the degu (Octodon degus)」(査読論文。抄録を確認) (取得日: 2026-10-08)